スクワットマシンの種類と使い方
スクワットはウエイトトレーニングにおいて最も基本的な種目の一つです。直立した状態から膝関節の屈曲・伸展を繰り返す運動で、下半身の筋群(大腿四頭筋、下腿三頭筋、大臀筋、中臀筋など)の筋肥大、筋力向上に効果があります。今やボディメイクや競技パフォーマンス向上には欠かせないトレーニングとなっています。
一方でスクワットは腰や膝の怪我が起きやすい種目の一つであり、適切なフォームで行うことが非常に重要となります。特にバーベルを使ったフリーウェイトでのスクワットにおいては、適切なフォームをマスターするには練習が必要となり、股関節、膝、脊椎、足首の可動性だけでなく、優れたコアの安定性も必要です。
そこで開発されたのがスクワットマシンです。
スクワットマシンは適切なフォームを体で覚える上で非常に便利なマシンです。マシンにはセーフティシステムが搭載されているため、バーベルスクワットのように潰れる危険性もありません。また、怪我明けのアスリートが段階的に筋力を戻す上でも素晴らしいツールです。 今回は現在使われているスクワットマシンの種類と使い方についてご紹介します。
スクワットマシンの種類と使い方
スクワットマシンの種類1「ハックスクワット」
スクワットマシンの種類その1はハックスクワットです。 ハックスクワットは体を後部に傾けて行うスクワットで、エクササイズには専用のマシンが用いられます。斜めにパッドに寄りかかり、ショルダーパッドの下に身を置くことによってウェイトプレートの重量を上方から受けます。そして膝の屈曲から立ち上がる動作で重量を上方に押し返します。 ハックスクワットには角度のついたプラットフォームと、スクワット時にスライドするショルダーパッド、背もたれ、ハンドルを備えています。通常プラットフォームは45°に設定されていますが、上の画像の通り角度調節が可能なタイプもあります。 またハックスクワットマシンはスミスマシンと同様にレールに沿って稼働するのも特徴の一つです。
ハックスクワットマシンを使うメリット
- ハックスクワットでは上半身を固定して動作するため、下半身の屈伸動作にフォーカスしてトレーニングをすることができます。
- 上記のため、体幹の強さ、上半身の安定性に不安がある方でも、高重量で深さのあるスクワットにトライすることができます。
- 片脚だけでのエクササイズを行うこともできます。
- 足の位置を調整することで、刺激を与える部位を変えることができます。足の位置を高くすれば臀筋がターゲットとなり、低くすれば大腿四頭筋がターゲットとなります。
- 怪我明けなど段階的に強度をあげる時により安全なトレーニングを行うことができます。
- マシンを使用して実行されるため、フリーウェイトと比べて求められるテクニックが少なくなります。
ハックスクワットの使い方
- 適切な重量でプレートをセットします。
- 背中と肩をパッドに当てて、マシンに足を踏み入れます。
- 足をプラットフォームに置いて、お尻の幅程度で足を離し、肩パッドの近くにあるハンドルをつかみます。
- 足を押して腰と膝を完全に伸ばし、セーフティピンを外します。これがスタートポジションです。
- ゆっくりとスクワットし、かかとを押してスタートポジションに押し戻します。
- 必要な回数、セットを繰り返します。
スクワットマシンの種類2「ベルトスクワット」
スクワットマシンの種類その2はベルトスクワットです。 ベルトスクワットは重りと繋がったベルトを腰に巻き、下方に引き込まれる負荷に対して立ち上がる形のスクワットです。上にあるような専用のマシンを用いるのが一般的ですが、重りを直接ベルトのチェーンにつなげる形もあります。 上のベルトスクワットマシンではベルトと重量(レバーアーム)の接続はケーブルを介して行われ、また足場には角度調整が可能なプラットフォームが搭載されています。
ベルトスクワットマシンを使うメリット
- ベルトスクワットではフリーウェイトのバーベルスクワットと比べて、下半身の筋肉と骨盤の周りに圧力がかかり、椎間板への圧迫を減らすことができます。これにより高重量のトレーニングも頻度を上げて行うことができます
- ベルトスクワットを取り入れることにより椎間板の回復を早め、怪我を減らすことができます。
- 上半身への負荷がないため、下半身の動き・フォームにフォーカスできます。
- 同じく上半身への負荷がないため、首や肩に怪我があってもスクワットをすることができます。
- 脚の筋肉だけでなく、腰と骨盤の周りの筋肉、腹圧も求められるため、効果を通常のスクワットに繋げやすくなります。
ベルトスクワットマシンの使い方
- 適切な重量でプレートをセットします。
- カラビナを介してベルトとケーブルを接続します。
- プラットフォームの適切な位置に足を置いて、前方のハンドルをつかみます。
- ゆっくりとスクワットし、地面を押してスタートポジションに押し戻します。
- 必要な回数、セットを繰り返します。
スクワットマシンの種類3「ペンデュラムスクワット」
スクワットマシンの種類その3はペンデュラムスクワットです。 ペンデュラムスクワットは、その名の通り"振り子"のようにスイング動作をするスクワットマシンです。世界的にみても新しいマシンで、まだ国内でもなかなか見ることができません。 体を後部のパッドに預け、フットプレートに両足をセットしてスクワットを行います。プレートは背部に積み、反対側にはカウンターウェイトが搭載されています。
ペンデュラムスクワットマシンを使うメリット
- スクワットと同じ動作をしながら、背部へのストレスを大きく軽減することができるため、背部に怪我持ちの方でもトレーニングを行うことができます。
- 動作機構上、少ないウェイトプレートでも高負荷をかけることができます。
- フル可動域でスクワットを行うことができます。
- プラットフォームの角度や足の置き場の調整で、ターゲットとする筋群を変えることができます。
ペンデュラムスクワットマシンの使い方
- 適切な重量でプレートをセットします。
- プラットフォームの角度調整をします。
- 背中と肩をパッドに当ててハンドルを握り、プラットフォームに足を踏み入れます。
- 足を押して腰と膝を完全に伸ばし、セーフティフックを外します。これがスタートポジションです。
- ゆっくりとスクワットし、地面を押してスタートポジションに押し戻します。
- 必要な回数、セットを繰り返します。
スクワットマシンの種類4「Vスクワット」
スクワットマシンの種類その4はVスクワット(パワースクワット)です。 Vスクワットは、円弧軌道で動作するスクワットマシンで、通常のスクワットに非常に近いモーションでトレーニングを行うことができます。 Vスクワットはハックスクワットと同様に体をやや後部に傾けて行い、膝の屈曲から立ち上がる動作で重量を上方に押し返します。一方でハックスクワットほどパッドの傾きはないため、前向きで前傾しながらスクワットをすることも可能です(リバースVスクワット)。
Vスクワットマシンを使うメリット
- 円弧軌道で動作するため背中と膝にかかる負担を軽減することができます。
- 通常のスクワットに近い自然なモーションでスクワットをすることができます。
- バーベルスクワットに必要なテクニックを安全に学習することができます。
- リバースVスクワットにより大腿四頭筋をターゲットにしたトレーニングも可能です。
- 怪我明けなど段階的に強度をあげる時により安全なトレーニングを行うことができます。
Vスクワットマシンの使い方
- 適切な重量でプレートをセットします。
- プラットフォームの適切な位置に足を置きます(足幅は肩幅程度)。
- 背中と肩をパッドに当ててハンドルを握ります。
- 足を押して腰と膝を完全に伸ばし、セーフティフックを外します。これがスタートポジションです。
- ゆっくりとスクワットし、地面を押してスタートポジションに押し戻します。
- 必要な回数、セットを繰り返します。
スクワットマシンの種類 番外編
ここまで4つのスクワットマシンをご紹介しましたが、この他にもパナッタでは独自のスクワットマシンが作られています。
スーパーパワースクワット
こちらはパナッタのスーパースクワットマシンです。Vスクワットと似た機構ですが、Vスクワット以上にスクワットに近いモーションとなります。負荷を垂直方向から受ける形となるため腰部への負担がでてきますが、バーベルスクワットと異なりぐらつきがないこと、またセーフティレバーがあるため潰れる危険性もありません。安全にバーベルスクワットと近い効果を得るには最適のマシンとなります。
スクワットランジマシン
パナッタのスクワットランジではランジ動作、シングルレッグスクワットを行うことができます。これらのマシンはスクワットだけでなく、ロウイングやデッドリフト、シュラッグなどの様々なトレーニングでも活用できるので、ジムに1台あると非常に便利です。
終わりに
今回はスクワットマシンの種類と使い方をご紹介させていただきました。 怪我リスクの高いバーベルスクワットの代替手段として、スクワットマシンを導入するジムも増えてきています。スクワットマシンに関するお問い合わせ、お見積もりにつきましてはウチノジムにお気軽にご相談ください。